バイブコーディングでスプレッドシート集計を自動化してみた
バイブコーディングで、毎日のスプレッドシート集計を自動化できないか。いくつものCSVを開いてコピペし、合計を出す作業に時間を取られていませんか。
バイブコーディング(自然言語でAIに指示を出し、コードの生成・修正を任せる進め方)なら、この手の集計はコードを書かずに形にできるのか。今回は、Claude Codeにプロンプトを渡して、日別CSVをまとめる集計スクリプトを作ってもらいました。
先にお伝えしておくと、今回使ったのは実際の業務データではなく、検証用に作ったダミーのCSV 3件です。そのぶん「どこでつまずくか」を意図的に仕込んで試しました。
バイブコーディングでスプレッドシート自動化はできる?結論
一言で言えば、「読み込む→集計する→書き出す」という定型の集計なら、プロンプト2回で動く形になりました。
ただし、ここでいう自動化は「ボタン1つ(コマンド1つ)で集計が終わる」半自動化です。毎朝勝手に動く完全自動化までは、今回は試せていません。
もう1つ大事だったのは、スクリプトの出来よりも「おかしなデータをどう扱うか」を人間が決める場面があったことです。ここは後半で詳しく書きます。
試した環境と用意したデータ
環境は次の通りです(2026年9月28日時点)。
- macOS
- Claude Code 2.1.268
- Python 3.14(標準ライブラリのみ使用)
Excelでよく使うpandasやopenpyxlといったライブラリは、今回あえて使いませんでした。`pip install` が不要になり、非エンジニアでも環境構築でつまずきにくいからです。そのかわり、扱えるのはExcelファイル(.xlsx)ではなくCSVです。ExcelやGoogleスプレッドシートのデータは、「CSV形式で保存(ダウンロード)」すれば使えます。
用意したのは、日付・担当・カテゴリ・金額が並んだ日別の売上CSV 3件です。そこに、手入力でよく起きるミスを3つ混ぜました。
- 金額が「2,100」とカンマ付きの文字になっている
- 金額が空欄になっている
- カテゴリが「文具 」と末尾に空白が入っている
1回目のプロンプト:まずは「勝手に直さない」
作業フォルダに移動してから `claude` を起動し、次のように頼みました。
dataフォルダにある日別の売上CSV(sales_*.csv)を毎日手作業でコピペして集計しています。これを自動化したいです。
目的: dataフォルダ内のsales_*.csvをすべて読み込み、カテゴリ別の合計金額と日付別の合計金額を1つのCSV(summary.csv)に書き出したい
対象範囲: dataフォルダの中のCSVは読み込むだけで、変更・削除しないでください。新しく作るのはこのフォルダ直下のスクリプト1つとsummary.csvだけにしてください
条件: pip installが不要なように、Python標準ライブラリだけで書いてください。Excelで開いても文字化けしないようにしてください
スクリプトを作ったら一度実行して、結果を見せてください。
データの中で集計に使えない行や怪しい値があれば、勝手に補正せず、どの行が何の理由で問題かを報告してください。
不明点は推測せず、確認事項として列挙してください。
できあがった `summarize_sales.py` を実行すると、こう表示されました。
読み込んだファイル: 3件
summary.csv を書き出しました
集計から除外した行:
- sales_2026-09-24.csv 4行目: 金額が数字だけではない(2,100)
- sales_2026-09-25.csv 3行目: 金額が空
- sales_2026-09-26.csv 2行目: カテゴリ前後に空白('文具 ')
仕込んだ3つのミスが、すべて行番号つきで報告されました。
Excelでの文字化け対策としては、BOM付きUTF-8(Excelが日本語を正しく判別しやすい保存形式)で書き出す形になっていました。ただ、手元のExcelで実際に開いて確認する作業はまだできていません。
2回目のプロンプト:補正ルールは人間が決める
1回目の結果は「正しい」のですが、実用上は困ります。「2,100」は明らかに2100円ですし、「文具 」は文具です。これを除外すると、合計が実際より少なくなってしまいます。
一方で、空欄の金額は「0円」なのか「入力忘れ」なのか、データだけでは判断できません。
そこで、次のように伝えました。
次のルールでsummarize_sales.pyを修正してください。
・「2,100」のような桁区切りカンマ付きの金額は、カンマを除いて数値として集計する
・カテゴリの前後の空白は取り除いて集計する
・金額が空の行は、これまで通り集計から除外して報告する
・補正した行は、どの行をどう補正したか画面に表示する
修正する前に、変更点の差分を見せてください。dataフォルダのCSVは変更しないでください。
不明点は推測せず、確認事項として列挙してください。
修正後の実行結果です。
集計から除外した行:
- sales_2026-09-25.csv 3行目: 金額が空
補正して集計した行:
- sales_2026-09-24.csv 4行目: 桁区切りカンマを除去(2,100)
- sales_2026-09-26.csv 2行目: カテゴリ前後の空白を除去('文具 ')
summary.csv のカテゴリ別合計は、文具2,700円・雑貨3,000円・食品9,700円でした。元データから電卓で計算した数字と一致しています。
やってみてわかったこと
いちばんの収穫は、「怪しい値は勝手に直さないで」と最初に書いておいた効果です。
AIに「いい感じに集計して」とだけ頼むと、空欄を0として足すなど、黙って補正される可能性があります。集計結果はそれらしく見えるので、間違いに気づきにくいのが怖いところです。
報告させてから、補正ルールを自分で決める。この2段階にしたことで、どの数字をどう扱ったかを説明できる集計になりました。
逆に、まだわからないこともあります。
- 実データは列名の揺れや、途中で列が増えることもあるはず
- 毎日決まった時間に動かす部分(完全自動化)は未検証
- Googleスプレッドシートを直接読み書きする方法は試していない
Googleスプレッドシートの場合は、CSVとしてダウンロードしてから今回の方法を使うか、Google Apps Script(GAS)を書いてもらう方法が考えられます。GASをローカルで編集してアップロードするには、Googleが提供する clasp というコマンドラインツールがありますが、Googleアカウントでの認証が必要になるため、まだ試せていません。
あなたの集計作業で試すためのプロンプト例
まずは、実データのコピーを作業用フォルダに入れてから試すのがおすすめです。元のファイルを直接扱わないほうが安心です。個人名や取引先名が入ったデータの場合は、ダミーに置き換えてから試すとさらに安全です。
作業用フォルダに移動して(例: `cd “作業用フォルダのパス”`)、`claude` を起動したら、次のプロンプトを貼り付けてください。`[ ]` の部分は自分のデータに合わせて書き換えます。
毎日手作業でやっているスプレッドシートの集計を自動化したいです。
目的: [inputフォルダ]にあるCSVファイルをすべて読み込み、[集計したい項目(例: カテゴリ別・日付別)]の合計を1つのCSVに書き出したい
対象範囲: [inputフォルダ]のファイルは読み込むだけで、変更・削除・上書きはしないでください。新しく作るファイルは、作成前にファイル名と保存場所を教えてください。出力ファイルが既にある場合に上書きするか、日付付きの別名で保存するかは、実行前に確認してください
条件: できればPython標準ライブラリだけで書いてください。追加のインストールが必要な場合は、実行前に理由と方法を説明してください
最初に、CSVの列名とデータの例を確認して、どう集計するか方針を説明してください。
空欄・数字でない金額・表記揺れなど、集計に影響しそうな値は勝手に補正せず、ファイル名と行番号つきで報告してください。
不明点は推測せず、確認事項として列挙してください。
2回目以降は、Claude Codeを起動しなくても、ターミナルで `python3 スクリプト名.py`(ファイル名は英数字で付けてもらうのがおすすめ)を実行すれば同じ集計ができます。WindowsではPythonの入れ方によって `python` や `py` になります。Macで `python3` が見つからない場合や、開発ツールのインストールを求められた場合は、その画面を見せてClaude Codeに相談してください。
報告された問題行を見て、「これはこう扱う」とルールを決めて伝えれば、2回目のプロンプトで補正できます。
なお、`sudo` を付けた実行や、システム全体へのインストールを提案された場合は、そのまま実行せず理由を確認してください。
まとめ
- バイブコーディングで、スプレッドシート(CSV)集計の自動化はプロンプト2回で形になった
- 今回はコマンド1つで動く半自動化。定時実行は未検証
- 「怪しい値は勝手に直さず報告」と指示すると、黙った補正を防げる
- 補正ルールは人間が決めて、2回目のプロンプトで伝える
- 試すときは元データのコピーで行う
「毎日のコピペ集計」は、小さく自動化しやすい題材です。まずは1種類のCSVから試してみてください。
同じように小さく作って直していく進め方は、バイブコーディングで家計簿アプリを作った話やバイブコーディングで1時間でアプリの原型を作った話でも紹介しています。あわせて読んでみてください。